こんな夢を見た。
精神病院にいる。
毎日の日課である散歩に出る。
木の前で友達が呼んでいる。「ほら。こんなに実がついているよ」と言いながら、彼は木の実を食べている。見ると、丸い木の実の先からクリームみたいなものがにょろにょろ出ている。ふーん。僕はそれをじっと眺めるという行為をしばらく続けた。
またしばらく散歩していると、屋台がずらっと並んでいた。そうか、今日はお祭りだったっけ。ある屋台でおみくじを引かないかと職員のお姉さんに声をかけられた。
「さぁどうぞ!」と棒を渡されたが、なかなか出て来ないので、ブンブン振り回していたら二本出てしまった。お姉さんが、「じゃあ二つあげようか」と言って後ろを向いた隙に僕はその場を離れた。だって運命が二つもあったら嫌だものね。
病院に戻ると食事の時間だった。当番の女の子から20香港ドルをもらって食堂に行く。入り口で自分のも買ってくれないかと言って、訳の分からないお札を渡そうとする人たちを振り切って食堂に入る。中ではお姉さんがおみくじを持って僕を待っていた。
時は流れて、僕達は病院を出た。
僕達は社会復帰するために親元には戻らず、男8人、女1人で共同生活を始めた。まぁ、なんとかうまくやっていたはずだった。事件はある日突然起こった。
僕が外から戻ると、部屋で何人かがもめていた。「わかったわ。すればいいのよ。ね、そうでしょう。行こ!」と彼女は言って一人の男の手を取り部屋を出ようとした所で僕とぶつかった。
「どいてよ。私、彼と寝るんだから」
「どして?」と言って僕は男の目を見た。おどおどしている。それから皆の方を見た。同じくおどおどして下を向いている。
「どしたの?みんな。話してくれよ」と僕は言った。
「要するに」と落ち着いてから彼女が言った。「私がもっと皆の事を好きになればいいのよ。やりたい時にすればいいのよ」
「でもそんなことしたって、何も変わらないよ。君が傷付くだけじゃなくて、みんな傷付く」と言いながら、僕は彼女と寝た事があった。それも何度か。
「いいんじゃないのか?彼女がそう言ってるんだし」と一人が僕に言った。彼ももしかしたら彼女と寝てるんじゃないかなと思った。
彼女はしばらく一人にして欲しいと言って隣の部屋へ消えた。残された我々は手持ち無沙汰のまま座り込んでいた。僕は机の上にあった手紙を整理していた。昔の主治医からの手紙を読んで、ああ、返事を書かなくちゃなぁと思ってがさごそと手紙をいじっていた。
「お前だってさ、その方がいいんじゃないのか?」と唐突にさっきの男が言った。
「え?」
「俺知ってるんだ。お前と彼女のコト」と彼は「コト」にアクセントを置いて言った。「隠さなくたっていいんだ。判ってるんだからさ」
それを聞いて皆が一斉に僕に言葉を投げかけた。
「お、おいら、し、知らなかったよ、な、なぁ」
「隠し事は良くないよ」
「そうだそうだ」
僕は混乱の渦の中に放り込まれた。