「もうダメかもしれん」とそのおじいさんは言った。我々は松林の中を歩いていたが、そこにあるものは枯れてしまった松の木ばかりであった。おじいさんはかろうじて出た小さな芽を見つけると、僕を呼んでそう言った。
おじいさんの表情を見ながら、僕は日本の松はもう絶滅してしまうんだなぁと思った。
そのまましばらく歩いていると、一軒の家があった。「わしの家じゃよ」
おじいさんの家の裏にも松林があった。でもそれはさっきのように枯れた松林ではなかった。みんなきちんと青々とした葉を付けていた。でもよく見ると、大部分に「綿吹き虫」がついていた。おじいさんは僕の視線に気が付いて言った。「あの綿吹き虫はな、松を守ってくれるんじゃよ。あれがいないと松はみんな枯れちまうんじゃ」
僕はなるほどそんなものかと思った。
そして僕はおじいさんの家に招かれた。
門の前でおじいさんは急に「しまった」と言った。見ると、窓という窓に綿吹き虫が真っ白な綿をくっつけていた。
僕達は慌てて中に入った。家の中にはもちろん誰もいなかった。みんな綿吹き虫に襲われてしまったのだ。がらんとした家の中に僕達はいつまでも立ち尽くした。
という夢を見た。