こんな夢を見た。
佐々木という男の運転する車に乗っている。が、どうしてだか判らないけれど車は大破して生き残ったのは僕と女の子が一人だけだった。後の皆は死んでしまった。僕達は廃墟の街を走っていたらしく、周りには誰もいないが、その代わり草木だけは元気でそこらの建物やらみんなぐしゃぐしゃに緑色を塗られているかのようだった。道路の草も深かった。
彼女と僕は奇跡的に怪我一つなかった。彼女に名前を聞いてみたが答えてはくれなかった。僕に対してあまりよい感情を抱いてはいないのかもしれない。とにかく二人で歩いていると、前の方から数人の男がやってきて、一体どうしたのかと聞いた。僕達は佐々木の運転する車に乗っていたのだが事故で生き残ったのは僕達二人だけなのだと説明した。すると、彼らの指揮官と思われる男が、わかったと言い、彼の部下達に行けと叫んだ。僕と彼女は再び歩き始めた。
僕達は遂に人の住む世界に辿り着いた。僕達の目の前には蔦に絡まれた高い壁があり、その上を電車が走っていた。見ると、丸太で粗末なはしごを作ってなんとか壁をよじ登り、この廃墟の街から脱出しようとしている人々がいた。
雨が降り始めた。
彼らはボロ布をまとい、目だけがギラギラと光っていた。そうして懸命に丸太に縄をかけていた。
雨は激しく降っている。
夜になって、彼らははしごをくみ上げ、脱出を始めた。彼らは僕達に向かって早く来いと言わんばかりに手招きした。はしごを上ると壁の上に付いている柵を伝って駅のホームへ向かってカニのように歩き始めた。雨のせいで足許は滑りやすいし電車が通るたびに飛ばされないようにじっとしがみついていなければならないので大変だった。僕の後から来た何人かは落下してしまったようだ。
やっとの事でホームに着き、電車に乗った。座席に座ってもう一度彼女に名前を聞いてみた。彼女は微笑んでオダジマミユキと言った。オダジマミユキ?聞いた事が無い。僕は疲れがどっと出てきたので彼女の膝の上で目を閉じた。これから僕達がどこに行くのかさっぱり判らなかった。